労働組合が敬遠される理由とその未来 | 「働くこと」を考える不動産屋

労働組合が何かを知らない人が増えている~東村山の不動産会社

企業社会にあって、働く人がきちんと物申す環境が育たなかった一因に労働組合の役割とその陰の部分が関わることは押さえておく必要があるでしょう。

厚生労働省の労働組合基礎調査によると、2022年6月30日現在の労働組合数は23,046 組合、労働組合員数は999 万 2 千人で、前年に比べて労働組合数は 346 組合(1.5%)減、労働組合員数は 8 万 6 千人(0.8%)減少しているという結果となっています。労働組合の組織率というのはどんどん下がっているのです。

その理由はいろいろ考えられますが、労働組合がどんなものであって、それによって働く人がどう守られるかということを知らない人が増えていることにあります。労働組合のない企業も多いですし、そんな場合でも巷には合同労働組合(ユニオン)と言って、業種や企業に関係なく一人で加入できる組織があることも、知らない人のほうが多いでしょう。

権力の弾圧とそれに協力したメディアのあり方と~東村山の不動産会社

法律で認められていて企業によって距離感が異なるとはいえ、基本的に企業側にとって労働組合というものはいろんな要求をしてくる煙たい存在には違いありません。1955(昭和30)年から1990年代の初め頃までの政治の世界は、自民党が与党で社会党が野党第1党という時代でした。かなり大ざっぱに言うと、企業側(経営側)の利益代表が自民党で、労働者側(労働組合側)が社会党を支持するという構図だったのです。

それが東西冷戦時代の終結などの世界情勢の変化や、自民党による労働組合の切り崩し工作などによって様相が変わっていきます。代表的なものに国鉄の分割民営化があります。1987(昭和62)年、国鉄が現在のJR各社に分割されたことは、それまで社会党の大きな支持母体だった国鉄労働組合(国労)の弱体化につながりました。

また、1970年代頃まではよく見られたストライキが一般市民から「迷惑行為」、「大声で怒鳴ったりして怖いもの」などであるかのように受け止められて、逆効果にもなりかねないとしてあまり行われなくなったことに、経営側・権力の側によるメディアを通じた印象操作の影響があることは否めないでしょう。言うまでもありませんが、ストライキは労働者に認められた権利です。

その後の90年代、バブル崩壊後の日本では就職氷河期からの規制緩和による労働者派遣法の改正など、それは正規雇用の人々にもさまざまな影響を与え、働く人を取り巻く環境は変化を続けて、現在に至ります。

やはり自分たちにも問題はあった~東村山の不動産会社

一方で、労働組合の側にも問題はありました。90年代前半以降、パート・アルバイト・派遣社員が労働者に占める割合がどんどん増えていったにもかかわらず、労働組合に加入できる権利があるのは正規雇用(正社員)だけという状況でした。むしろ、そんな労働組合の側が正社員である自分たちを守るために、非正規雇用の人たちを切り捨てる傾向さえあったわけです。

日本の労働組合が企業単位で構成される、企業別労働組合が大半である点も見過ごせません。欧米と違い、上部団体に当たる産業別労働組合よりも会社側との交渉の主体が企業別組合にあることが、内向きで労使協調という名の馴れ合いを招いた点は否定できないでしょう。

会社でハラスメントに遭ったとき、自分にはどういう権利があるのか。どう自分を守ったらいいのか。そういうことを知っておかないと、いいようにやられてしまうというのが残念ながら現実として多くあります。知ることはよりよく働いて会社の利益に貢献するためですから、会社と敵対することではありません。

だから、働く人が「かしこくなる」ことを、快く思わない経営リーダーは去ったほうがよいです。自身が不当な立場に追い込まれたときに、立ち向かうすべを知らない部下しかマネージメントできないというならこれからの時代、そんな経営者や管理職は無用の長物です。

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