東村山市で弱い人々に味方してくれる不動産屋がある。書籍『きまじめでやさしい弱者のための「独立・起業」』の著者でもある阿部さんは、NGOや社会福祉法人で15年勤務。児童養護施設を卒業した青少年が不動産を確保しづらい状況を知っており、『宅地建物取引士』の資格を取得していたことから、〝弱者を守る福祉と不動産を結ぶビジネスがあったらいい〟と考えた。
発達障がいの方や同性愛者も部屋を探しにくい現状があります。実は、私自身も同性愛者であり、それを私の個性として公表しています。正直、不動産屋というのは、どの会社でも同じ物件を扱える。これからは、私のように自分自身を前面に出して〝阿部さんだから、お願いしたい〟と言ってもらうことが、お客さまに選ばれる道です」。
阿部さんの人柄や考えを知った共感者からは空き家の贈与寄付の申し出や競売不動産の相談、事業用物件の依頼などが名指しで入る。
「うんすい宅建の社名は、その時その時の流れに身を任せ、全力を尽くそうという言葉『行雲流水』から。今後も私らしく力を尽くします」。
[Point]18歳になると、児童養護施設で育った青少年は社会に出て自活しなければなりません。けれども、複雑な事情を抱えながら育った子どもたちは、社会と上手く折り合えず挫折することも多いそう。そんなとき、戻る実家のない青少年に、手を差し伸べたいと考えたのが阿部さんでした。