民間と公務員では異なるパワハラの話 | ハラスメント研修講師の不動産屋

何がOKで何がNGかは「状況による」~東村山の不動産会社

2020年6月1日に、いわゆるパワハラ防止法が施行されて、パワハラとは何かということが定義づけられて、雇用主等が果たすべき義務や役割も示されました。2023年現在、まだ日が浅く、パワハラについて知っているようでわからないという感じがあるのは仕方ありません。

厚生労働省によるパワハラの定義は、次のとおりです。

・優越的な関係
・業務の適正な範囲
・平均的労働者の感じ方

これを見てもわかるように、パワハラについては一つの正しい答えがあるわけではなく、何がOKで何がNGかは「状況による」というのが、いちばん近い答えになると言えるでしょう。

より広く厳しい内容の人事院規則~東村山の不動産会社

ところが、公務職場に関してはこれらの定義ではない、人事院規則に基づく定義があります。それが次の内容です。

・職務に関する優越的な関係を背景に行われるもの
・「職員の人格や尊厳を害する」あるいは「職員の勤務環境を害することとなる」もの
・業務上必要かつ相当な範囲を超えるもの

民間と公務員、両方に登場する「優越的な関係」について、その違いの一つとして、公務員のパワハラには、「部下が上司に行うものも含まれる」という点があります。人事院規則に基づく優越的な関係は次のとおりです。

①業務上の地位が上位の者による言動
②同僚又は部下による言動で、その言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その人達の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
③同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

②と③が民間との違いになります。その理由は、公務職場特有の人事管理にあります。身分保障が手厚く、簡単には解雇されないため、ベテランの部下のほうが力が強いケースがあること。業務分担がしっかりしていて、仕事が属人的になりやすいこと。短期ジョブローテーションのため、上司の権限が小さい、あるいは無いなどといった点が当てはまります。

人事院規則については国家公務員が対象とされて、自治体には強制がありません。とはいうものの、民間でもたとえばベテランの部下が威張っていて、上司が小さくなっているような職場はよくあると思います。

そうした点も踏まえて、事業所にもよりけりでしょうが、より厳しいほうを基準に自社のガイドラインをつくるのも良いことではないでしょうか。

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