弾丸と抵抗 | 月並みだけどお客様の立場に立たなければと思った不動産屋

火薬の性能を上げてPRすればお客様のハートを打ち抜けるのか~東村山の不動産会社

ずっと前から、良いアイデアはなぜ受け入れられにくいのだろう。また、何で良いアイデアが目上の人に評価されるほど、組織の中でハレーションが起こるのだろうと素朴な疑問を持っていました。

『「変化を嫌う人」を動かす 魅力的な提案が受け入れられない4つの理由』(草思社)という本は、そうした私(阿部)のぼんやりした疑問に多くの答えを与えてくれたのと同時に、ビジネスを行う上での集客や広報というものを改めて考えさせられるものでした。

人が慣れた環境ややり方を変えたがらないということは、それなりに社会経験を積んできた人なら体験的に理解できるだろうし、巷でもよく言われます。

本書の最初に出てくる「弾丸があれほどよく飛ぶのはなぜか」という話。弾丸が正確に物凄い速さで標的に命中するのは火薬のおかげだと、私も含めてほとんどの人は答えるでしょう。しかしながら、それだけでは答えとして不完全で、理系的な詳細はさておき、空気力学が働くから弾丸はよく飛ぶわけです。

だけど、空気力学を無視して、火薬の性能を上げることばかり考えたらどうでしょうか。それは例えていうなら、自社の製品をパワーアップ・バージョンアップさせてPRすることばかりで、顧客のニーズが見えていないのと同じことなのですね。

客がとても気に入って購入を希望しながらいなくなる理由~東村山の不動産会社

例として登場する話の一つに、ソファが主力商品のオーダーメイド家具の会社のことがあります。何時間もかけてソファを自分好みに自由に作れるサービスを楽しみ、購入を希望しているはずの客が注文ボタンを押さないまま、いなくなってしまうというのです。

その理由は商品や会社の魅力とは関係なく、客の自宅にある古いソファの存在でした。いざ、新しいソファを購入するとなると、古いソファを処分しなければなりません。大きなソファを二つも家には置けない。いま自宅にあるソファの処分方法が決まらない限り、客は購入に踏み切れないというわけです。

これが弾丸の話になぞらえると、「商品や会社の魅力」が火薬で、「古いソファの処分問題」に対する解決策の提示が空気力学ということになります。だけど、つい多くの人は「もっと商品や会社の魅力のほうを高めなければ!」となってしまいがちです。

自社の魅力は弾丸でお客様の困りごとは空気力学で~東村山の不動産会社

本書が挙げる、魅力的な提案が受け入れられない4つの理由とは、「惰性」「労力」「感情」「心理的反発」となっています。いわば、この4つが「古いソファをどう処分するかの問題」というわけです。

著者の言葉を借りるなら、「燃料」ばかりに目を向けるのではなく、変化に逆行する力「抵抗」に目を向ける必要があるということ。結局、私のようにビジネスを行っている者にとっては、お客様の立場に立つという月並みな話に帰結するのですが、弾丸(燃料)・空気力学(抵抗)と置き換えることで、より腑に落ちたという話でした。

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