住まいを売りたい。住み替えたい。投資用の不動産を探したい。
そう考えたとき、多くの方は「まずは大手の不動産会社へ相談しよう」と思われます。
もちろん、それは間違いではありません。
大手不動産会社には、全国規模のネットワークがあります。豊富な広告力もありますし、多くの顧客データや取引実績も蓄積されています。安心感という点では、大きな魅力があるでしょう。
一方で、大手だからこその事情もあります。
毎月多くの取引を行う会社では、一人の担当者が数多くの案件を抱えています。数千万円程度の一般的な住宅売買は、決して珍しい案件ではありません。ビジネスとして考えれば、より高額な物件や資産家のお客様に時間をかけることは、ごく自然な経営判断でもあります。
ある著名な不動産コンサルタントは、「大手にとって一般のお客様はゴミのような存在」とまで表現していました。私はそこまで極端な言い方をするつもりはありません。しかし、「会社にとっての優先順位」が存在することは事実でしょう。
だからこそ、小さな不動産会社には、小さな会社ならではの役割があります。
私たちのような地域の不動産会社にとって、一件一件のご相談はとても大切です。年間に何百件も売買を行う会社ではありませんから、お客様一人ひとりとじっくり向き合うことができます。
これは売却だけではありません。
「投資物件は大手しか持っていない」と思われる方もいますが、実際にはそんなことはありません。不動産会社同士は日々情報交換をしていますし、他社から購入希望者を紹介してほしいと依頼される物件も数多くあります。良い物件が大手だけに集まり、小さな会社には条件の悪い物件しかない、ということでは決してありません。
私は、不動産会社選びは「会社の大きさ」で決めるものではなく、「自分をどれだけ大切なお客様として見てくれるか」で選ぶものだと思っています。
中国の古典に「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉があります。
大きな組織の中で埋もれるより、小さくても自分を大切にしてくれる場所を選ぶ。
住まいは、人生で何度もある買い物ではありません。
だからこそ、その場限りの営業担当ではなく、何かあれば気軽に相談できる「かかりつけの不動産屋」を持つという考え方も、一つの選択肢ではないでしょうか。
私は、そんな存在でありたいと思っています。(阿部浩一)
